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【参考答案】
1 Xの請求に対し、Y社は、本件売買契約がY社の定款所定の目的の範囲外の行為であり、民法34条により無効であると主張する。そこで、Xの請求が認められるか否かにつき、会社の「目的の範囲」がいかなる範囲に及ぶかが問題となる。
2 この点、取引安全の観点から、その範囲は柔軟に解釈する必要がある。
したがって、株式会社における「定款……で定められた目的の範囲」は、定款に明示された目的自体に限らず、その目的を遂行するうえで直接または間接に必要な行為も含まれる。また、その行為が目的遂行に必要か否かは、行為の客観的な性質に即し、抽象的に判断する。
3 本件において、Y社の定款に記載された目的は、「不動産その他の財産を保存し、これを運用して利殖を計ること」である。そのため、Xに不動産を売却する行為は、定款の目的自体に直接は含まれていない。しかし、「不動産の運用・利殖を計る」ためには、所有する不動産を売却し利益を確定させる必要性もある。そうすると、不動産の売買契約を締結する行為は、間接的に必要な行為に当たる。
したがって、Xとの間で不動産の売買契約を締結行為は、Y社の「目的の範囲」内の行為であり、X・Y社間の本件売買契約は有効に成立している。
4 よって、Y社の抗弁は認められないから、Xの請求は認められる。
以上

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