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参考答案 Law Practice 商法〔第5版〕 問題22 株主総会の権限

目次

【答案構成】

第1 小問(1)について

 1(1) 設問の提示(Y社株主Cは、臨時株主総会を招集して、代表取締役Xを解職し、Aを代表取締役に選定する旨の決議をすることができるか。)

  (2) 問題提起(Y社定款によって株主総会の決議事項として代表取締役の選定・解職権限を留保することが認められるか。)

2 規範定立(

 3(1) 当てはめ1(Y社定款は、取締役会の選定・解職権限を株主総会にも重畳的に付与している→依然として、取締役会も代表取締役を解職でき、監督権限の実効性あり。→Y社定款規定は、会社法の趣旨を没却するものでない=有効)

  (2) 当てはめ2(C自身が株主総会を招集するための要件を充足するか)

4 結論

第2 小問(2)について

1 問題提起(株主提案権の対象となる事項は、株主総会が決議する権限を持つ事項に限られるか)

2 規範定立(株主提案権の対象事項)

3 当てはめ(Dの提案内容=経営方針に関するもの=「業務執行の決定」(362条2項1号)に該当。→株主総会が決議できる事項(295条2項)に含まれず。=Dの提案内容は株主総会の権限外の事項に関するもの→株主提案権の対象外)・結論(Y社は、Dの提案を株主総会の議題及び議案とする必要はない)

 

【参考答案】

第1 小問(1)について

 1(1) Y社株主Cは、臨時株主総会を招集して、代表取締役Xを解職し、Aを代表取締役に選定する旨の決議をすることができるか。

  (2) 取締役会設置会社であるY社における株主総会での決議事項は、会社法および定款で定めた事項に限られる(295条2項)。そして、代表取締役の選定・解職は、取締役会の決議事項(362条2項3号)と定められているところ、Y社定款によって株主総会の決議事項として代表取締役の選定・解職権限を留保することが認められるか。取締役会の監督権限(362条2項2号)との関係で問題となる。

2 この点につき、定款で株主総会の決議事項とすることができる事項について制限する明文規定はない。一方、会社法が取締役会の決議事項とすると規定した趣旨を没却するような定款規定は、法の趣旨に反し許されない。
 そこで、会社法の趣旨を没却しない限度において、定款の定めは有効であると解する。

 3(1) Y社定款は、代表取締役は取締役会の決議によるほか、必要に応じ、株主総会の決議によっても定め、または辞めさせることができると規定する。これは、取締役会の選定・解職権限を否定するものではなく、株主総会にも重畳的に権限を付与する趣旨である。そのため、取締役会は、必要があれば代表取締役を解職できる権限を依然として有しており、監督権限の実効性が失われるとはいえない。
 したがって、Y社の定款の定めは、会社法の趣旨を没却するものではなく、有効である。

  (2) 株主自らが株主総会を招集するには、取締役に対し総会の招集を請求し、これがなされない場合に裁判所の許可を得る必要がある(297条)。そして、Cは発行済株式総数の10%以上を有する株主であり、招集請求に必要な議決権割合を満たしている。また、Y社は非公開会社であるため、6か月の株式保有期間の要件は課されない(297条2項)。

4 以上より、Y社の定款は有効であり、Cは会社法297条に定める手続を経ることで、臨時株主総会を自ら招集することができる。
 よって、Cが臨時株主総会を招集し、Xを代表取締役から解職するとともにAを代表取締役に選定する旨の決議をすることは可能である。

第2 小問(2)について

1 Y社株主Dは、Y社株式を10%保有する株主であり、株主総会期日8週間前までに本件提案をしていることから、議題提案権(303条2項、3項)および議案要領通知請求権(305条1項、2 項)の要件を充足する。
 もっとも、Dの提案は、5パーセントの収益を獲得することを目標とするという経営方針に関するものである。取締役会設置会社において、会社の業務執行の決定は取締役会の権限とされる一方(362条2項1号)、株主総会の権限は法律と定款で定めた事項に限定されている(295条2項)。
 そこで、株主提案権の対象となる事項は、株主総会が決議する権限を持つ事項に限られるか問題となる。

2 会社法が取締役会設置会社において株主総会の権限を制限した趣旨(295条2項、362条2項1号)は、経営判断については、経営の専門家である取締役で構成される取締役会にその意思決定を委ねる方が迅速かつ合理的である点にある。
 このような法の趣旨からすれば、株主提案権は株主総会が決議する権限を有する事項に限定されると解すべきである。

3 Dが提案する5パーセントの収益を獲得することを目標とするという議案は、会社の資産をどう運用するかという経営方針に関するものであり、「業務執行の決定」(362条2項1号)に該当する。したがって、株主総会が決議できる事項(295条2項)に含まれない。
 よって、Dの提案は、株主総会の権限外の事項に関するものであるから、株主提案権の対象とはならず、Y社は、Dの提案を株主総会の議題及び議案とする必要はない。

以上

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