【参考答案】
1(1) 刑事訴訟において、犯罪事実及びこれに準ずる事実については、「疑わしきは被告人の利益に」という利益原則(刑事訴訟法(以下法令名省略)336条)により、検察官が実質的挙証責任を負う。そのため、収賄罪(刑法197条)における職務関連性は犯罪の成立を基礎付ける事実であるから、これについても、検察官が合理的な疑いを容れない程度に証明しなければならない。
(2) 本規定は、一定の前提事実が認められた場合に、職務関連性を「推定する」としている。その意味が、被告人が職務関連性の不存在を証明しない限り、裁判所がその存在を認定しなければならないという義務的推定であるとすれば、職務関連性について実質的挙証責任を被告人に転換することになる。
上記解釈によれば、職務関連性が真偽不明であるにもかかわらず、被告人がその不存在を証明できなかったことを理由として有罪となり得るため、利益原則に反する。また、前提事実が認められた場合に推定事実を認定することを裁判所に義務付ける点で、自由心証主義(318条)との関係でも問題がある。加えて、被告人に要求される証明度を証拠の優越程度に軽減しても、立証に失敗したために処罰されるという問題は解消されない。
したがって、義務的推定規定である場合、本件規定を設けるべきでない。
(3) そこで、仮に本規定を設けるとすれば、前提事実が証明された場合に職務関連性を認定することが許されるにとどまるという許容的推定と解すべきである。この場合、職務関連性についての挙証責任は検察官に残り、前提事実や被告人による反証の不提出等を考慮してもなお合理的な疑いが残るときは、職務関連性を認定することはできない。
2 もっとも、許容的推定であっても、被告人の証拠不提出という態度を犯罪事実認定の資料として用いる例外的な制度である。
したがって、許容的推定規定を設けるには、①推定事実の立証が検察官にとって困難であるという必要性、②前提事実から推定事実を推認する合理的関連性、③被告人にとって反証が容易であるという便宜性が必要であると解する。
3 本規定については、公務員が職務上密接な利害関係を有する者から通常の社交の程度を超える利益を受け取った場合、職務関連性が存在する蓋然性は高く、合理的関連性は認められる。また、公務員は利益供与の目的や経緯を示し得るため、反証の便宜性も一応認められる。
しかし、職務関連性は、贈与者と公務員との関係、公務員の具体的職務、利益供与の時期、金額及び経緯等の客観的事情から立証することが可能である。そのため、利益原則に対する例外的な推定規定を設けるほどの必要性は認め難い。
したがって、本規定を設けるべきではないと考える。
以上
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