目次
【答案構成】
1 請求権の特定(A社との本件合併の無効を求める訴え)
訴訟要件(X=効力発生日において本件吸収合併後存続するY社「株主」→原告適格あり(828条2項7号)。訴え提起は、合併の効力発生日である2022年10月1日から6か月以内の2023年2月20日になされている→出訴期間充足(828条1項柱書)。)
問題提起(無効原因として、本件合併における合併比率が著しく不当かつ不公正であると主張→この主張が無効原因として認められるか。無効原因が明示されていないことから問題となる。)
2(1) 規範定立1(組織再編行為の無効原因)
(2) 規範定立2(合併比率の不公正が無効原因に当たるか)
3(1) 当てはめ1(Xは、①・②・③より、本件合併比率が著しく不公正であることを主張。→合併比率の不公正は、無効原因に原則、該当せず。)
(2) 当てはめ2(本件合併を承認したY社の株主総会決議日=2022年6月26日。⇔本件訴え提起日=2023年2月20日。→決議の日から3か月という取消訴訟の出訴期間を既に徒過している。
→Xは、本件合併無効の訴えの中で、承認決議の取消原因の存在を主張すること自体不可。=承認決議に取消原因が認められることもなく、例外として無効原因とはなることもない。)
4 結論
【参考答案】
1 Xは、Y社に対し、A社との本件合併の無効を求める訴え(会社法(以下法令名省略)828条1項7号)を提起している。
Xは、効力発生日において本件吸収合併後存続するY社「株主」であるから、原告適格が認められる(828条2項7号)。また、訴えの提起は、合併の効力発生日である2022年10月1日から6か月以内の2023年2月20日になされているから、出訴期間も充足する(828条1項柱書)。
そこで、Xは無効原因として、本件合併における合併比率が著しく不当かつ不公正であると主張するところ、このXの主張が無効原因として認められるか。無効原因が明示されていないことから問題となる。
2(1) 組織再編行為は、効力発生により多数の利害関係人が発生するため、法的安定を図るべきである。このことは、無効判決に遡及効が否定されていること(839条)等からも明らかである。
したがって、無効原因は重大な手続上の瑕疵があることに限定されると解する。
(2) それでは、合併比率が不公正であることは、無効原因に当たるか。
利害関係の対立する当事者間では契約に多少不公平が生じることは甘受すべきである。また、反対株主には株式買取請求権が認められている(785条,797条)ことから、契約内容に不満な株主はかかる請求権を行使することにより、救済が図られる。
したがって、原則として無効原因に当たらないものと解する。
もっとも、その承認決議に取消原因が認められる場合には、重要な手続上の瑕疵が存在することになるから、無効原因を構成する。
3(1) Xは、①簿価純資産、②1株当たりの利益、③類似会社比較の3通りの試算により、本件合併比率が著しく不公正であることを主張している。この合併比率の不公正は、無効原因に原則として当たらない。
(2) また、本件合併を承認したY社の株主総会決議は、2022年6月26日に行われている。これに対し、Xが本件訴えを提起したのは、2023年2月20日である。そうすると、Xは、決議の日から3か月という取消訴訟の出訴期間を既に徒過していることになる。
したがって、Xは、本件合併無効の訴えの中で、もはや承認決議の取消原因の存在を主張すること自体ができない。そのため、承認決議に取消原因が認められることもなく、無効原因とはならない。
4 よって、Xの請求は認められない。
以上

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