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【参考答案】
第1 小問(1)について
1 Yは、Zに対して乙債権の支払を求めて訴えを提起することができるか。この点、Xが提起した本件訴訟の確定判決の既判力(民事訴訟法(以下法令名省略)114条1項)がYに及ぶかが問題となる。
2 債権者代位訴訟(民法423条)において、代位債権者は、自己の債権を保全するために債務者に属する権利を行使するものであり、債務者の権利についての管理処分権を実体法上付与されて訴訟を追行するものである。したがって、その法的性質は法定訴訟担当であると解される。
そして、法定訴訟担当における判決の効力は、「他人のために原告又は被告となった者」に対する確定判決として、被担当者である「その他人」にも及ぶ(115条1項2号)。
3 XはYに代位して、Zに対し乙債権の支払を求める訴訟を提起し、請求棄却判決が確定している。このXは、法定訴訟担当者にあたるため、当該判決の既判力は被担当者であるYにも及ぶことになる。
したがって、YがZに対して同一の乙債権の支払を求める訴えは、前訴である本件訴訟の既判力に抵触する。
4 よって、Yが弁済を受けていないと主張して乙債権の支払いを求めてZに訴えを提起することは、本件訴訟の既判力に抵触し、許されない。
第2 小問(2)について
1(1) 本件訴訟の係属中に、YがZに対して乙債権の給付を求める訴えを別途提起することは、当事者および訴訟物が同一であるため、二重起訴の禁止(142条)に触れ、不適法となる。そこで、Yとしては、本件訴訟に参加する方法を採る必要がある。
(2) Yは、Xの有する被保全債権たる甲債権の不存在を主張しており、これはXの代位権すなわち当事者適格の欠如を主張するものである。この場合、Xの請求とYの請求は、当事者適格の有無において論理的に両立しない関係にある。
また、Yとしては、Xと共同歩調をとる共同訴訟参加(52条1項)ではなく、Xの不当な訴訟追行権を排斥して自らの権利を防衛するために、Xと争うことができる訴訟形態を採る必要性が高い。
このことから、Yとしては独立当事者参加を採るべきであるが、かかる当事者適格の存否が両立しない場合も、民事訴訟法47条1項前段の「訴訟の目的……が自己の権利であることを主張」する場合に含まれるかが問題となる。
2 「訴訟の目的……が自己の権利であることを主張」するとは、三面訴訟による紛争の統一的解決という制度趣旨から、本訴請求と参加人の請求とが論理的に両立し得ない関係にある場合をいうと解される。
この点、改正民法下では、債権者代位権が行使されても債務者は被代位権利の処分権限を失わない(民法423条の5前段)ため、代位債権者と債務者の当事者適格は併存しうる。しかし、両者の適格が併存する場合であっても、代位債権者が第三債務者に対して直接自己への支払を求めている場合(民法423条の3前段)には、第三債務者は、債権者と債務者のいずれか一方に弁済すれば他方の請求が認められなくなる関係(同条後段参照)にある。したがって、このように請求の趣旨の次元で論理的に両立しない場合には、なお同項の要件を満たすと解する。
3 XはZに対し、乙債権の支払を求めているところ、これはXへの直接の支払を求めるものであるといえる。他方、YもZに対し、乙債権の自己への支払を求めている。Zはいずれか一方に弁済すれば免責され、二重払いの義務を負わない以上、Xの請求とYの請求は、請求の趣旨の次元で両立しない関係にある。
また、YはXの被保全債権である甲債権の不存在を主張してXの訴訟追行権を争う意向を有している。仮に共同訴訟参加(52条1項)をした場合、XとYは類似必要的共同訴訟の関係(40条1項)に立ち、Xの請求を基礎づける事実をYが否定することは、共同訴訟人としての矛盾挙動として許されないおそれがある。そのため、Yが自己の権利を十全に防衛するためには、Xと対立関係に立つことができる独立当事者参加の方法による必要性が高い。
4 以上より、Yは、本件訴訟に対して、独立当事者参加の申出を行うとともに、Zに対して乙債権の支払を求める請求を定立すべきである。
以上

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