【参考答案】
1 DNA型鑑定の結果及び警察犬による臭気選別の結果は、いずれも、犯人とXとの同一性を推認するために用いられる専門的証拠である。このうち、DNA型鑑定は、遺伝学上の原理及び検査技術を応用し、専門的知識・技術を有する者が鑑定資料からDNA型を検出・解析するものであるから、科学的証拠に当たる。
科学的証拠は、その判断過程を専門知識のない事実認定者が検証することが困難である一方、専門家による科学的判定であることから、客観的に確実なものとして過度に信頼される危険がある。そこで、科学的証拠が要証事実に対する最低限度の証明力を有し、自然的関連性が認められるためには、いかなる信頼性が必要かが問題となる。
2(1) 科学的証拠に自然的関連性を認めるためには、①その基礎となる科学的原理が理論的正確性を有することに加え、②具体的な検査が、当該技術を習得した適格者により、科学的に信頼される方法で実施されたことを要すると解する。
(2) 本件DNA型鑑定についても、DNA型鑑定の基礎となる科学的原理が理論的正確性を有し、かつ、必要な知識及び技術を習得した鑑定者により、科学的に信頼される方法で鑑定が実施された場合には、その結果に証拠能力を認めることができる。
3(1) 次に、警察犬による臭気選別は、専門的訓練を受けた指導手及び警察犬を利用して行われる専門的証拠である。一方、犬の嗅覚による臭気識別の科学的メカニズムや人の体臭の個人差及び不変性は、必ずしも十分に解明されていない。
そのため、同証拠は、訓練された警察犬が相当程度の正確性をもって臭気を識別することができるという経験則に基づく証拠と解される。もっとも、このような経験則だけで直ちに自然的関連性を認めることはできず、具体的な臭気選別が、その経験則を適用するために必要な条件の下で適切に実施されていることを要する。
(2) したがって、臭気選別の結果に証拠能力を認めるためには、①臭気選別について専門的な知識及び経験を有する指導手が実施し、②臭気選別能力に優れ、選別時にもその能力が良好に保持されている警察犬を使用しており、③臭気の採取及び保管の過程並びに臭気選別の方法に不適切な点がないことを要すると解する。
4 以上の各要件が満たされる場合に、本件DNA型鑑定の結果及び臭気選別の結果に証拠能力を認めることができる。
以上
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