スポンサーリンク

参考答案 Law Practice 民事訴訟法〔第5版〕 問題9 訴訟代理人の代理権

Law Practice 民事訴訟法 〔第5版〕
スポンサーリンク

【参考答案】

1 AおよびBには、民事訴訟法(以下法令名省略)55条2項2号に基づく和解の特別授権がなされている。もっとも、本件和解の内容は、土地の売買や抵当権の設定といった、訴訟物たる建物収去土地明渡請求権の範囲を超えるものである。そこで、訴訟代理人が特別授権に基づいて行う和解の権限が、訴訟物以外の事項にまで及ぶか否かが問題となる。

2 55条2項2号が和解について特別の授権を要求した趣旨は、和解が判決によらず訴訟を終了させる行為であり、本人に重大な結果をもたらすため、本人の特別授権を介し、予期しない不利益を被ることを防止する点にある。
 もっとも、訴訟上の和解は、当事者双方が互譲することによって柔軟な解決を図るものであり(民法695条参照)、権限を訴訟物に限定することは和解の機能を著しく阻害し妥当でない。
 そこで、訴訟代理人は、訴訟物に関する互譲の一方法として、相手方の譲歩との間で対価関係を有する事項については、訴訟物以外の権利関係であっても、これを含めて和解をする権限を有すると解する。

3 本件訴訟における訴訟物は、XのYに対する土地賃貸借契約の終了に基づく建物収去土地明渡請求権である。そして、本件和解条項(1)における、YがXから係争地を1億円で買い受けるという合意は、Xが本来の請求である土地明渡しを断念し、土地の所有権をYに譲渡するというXの譲歩と、Yが明渡しを免れる代わりに1億円という代金支払義務を負担するというYの譲歩とが、実質的な対価関係に立つものである。
したがって、土地の売買に関する合意は、訴訟物に関する互譲の一方法としてなされたものと評価できる。
 また、本件和解条項(1)後段および(2)における、売買代金を5年間の分割払いとし、その支払を担保するために係争地および建物に抵当権を設定するという合意についても、XがYに対して高額な代金支払いの期限を猶予するという譲歩をする代わりに、Yが自己の権利の上に確実な担保権を設定するという譲歩をするものであり、両者は対価関係に立っている。したがって、抵当権の設定も、訴訟物に関する互譲の一方法としてなされたものといえる。

4 よって、本件和解の内容は、いずれも訴訟物に関する互譲の一方法として、相手方の譲歩との間で対価関係を有する事項であるから、特別授権の範囲内に含まれる。したがって、AおよびBには、本件和解をする権限があったものといえる。

以上

コメント