目次
【答案構成】
第1 設問1について
1 問題提起(法律の留保原則において、いかなる行政活動に法律の根拠が必要か)
2 規範定立(侵害留保説)
3(1) 当てはめ(一斉検問の性質と法律の根拠の要否)
(2) 当てはめ(一斉検問に法律の根拠規定が存在するか)
4 結論
第2 設問2について
1 C県の反論
① 一斉検問には法律の根拠が存在する
② 一斉検問は法律の根拠を必要としない行政活動である
2 反論①について
(1) 警察法2条1項が一斉検問についての法律の根拠規定となる理由。
(2) 警職法2条1項が一斉検問についての法律の根拠規定となる理由。
3 反論②について
(1) 反論②の内容
(2) 一斉検問は、侵害留保説との関係で法律の根拠を必要としない行政活動となる理由。
【参考答案】
第1 設問1について
1 Xは、法律の留保原則との関係で、自動車の一斉検問は法律の根拠を要する行政活動にもかかわらず、法律の根拠規範がないため違法であるとの主張をすると考える。
そこで、いかなる行政活動に法律の根拠が必要とされるか問題となる。
2 迅速・円滑な行政運営の確保と、国民の自由・権利保障の調和の観点から、国民の権利・自由を制約し、または新たな義務を課する行政活動には法律の根拠を要すると解する。
3(1) 一斉検問は、車両を停止を求める点で、国民の移動の自由を制約する行政活動といえる。
そうすると、一斉検問は法律の根拠が必要となる行政活動であるといえる。
(2) 一斉検問につき、明文で定めた法律は存在しない。そこで、関連法令を根拠規範とするものと解されるが、これも認められない。
警察法1条は、「警察の管理と運営を保障し、……警察の組織を定めることを目的」とする組織規範であるため、根拠規範ではない。また、警察法2条1項は、単に警察の責務を定めた規定であり、これも根拠規範でない。
警察官職務執行法(以下、「警職法」という)2条は、要件として「異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当の理由のある者」か、「犯罪が行われようとしていること」を「知っていると認められる者」であることを規定し、要件を充足する者に対し「停止させて質問」できると規定する。しかし、一斉検問の場合、該当の道路を通過する車両に対し一律に停止・質問が行われることからすると、上記要件を充足しない者に対しても停止・質問が行われる一斉検問の根拠規定たり得ない。
よって、一斉検問には法律の根拠規定が存在しない。
4 以上より、一斉検問には法律の根拠が必要であるにもかかわらず、法律の根拠が存在しないため、法律の留保原則との関係で違法である。
第2 設問2について
1 上記Xの主張に対し、C県は、① 一斉検問には法律の根拠が存在する、または、② 一斉検問は法律の根拠を必要としない行政活動であるとの反論をするものと考える。
2 反論①について
(1) 警察法2条1項は、「交通の取締」を警察の職務であると規定するが、この職務を果たすために必要とされる警察作用の一般的根拠規定であると解される。
確かに、警察法1条は、警察法が組織規範である旨規定するものであるが、組織規範か根拠規範かは個別の条文ごとに判断すべきであり、1条が組織規範であることから、2条が根拠規範とならないと解することはできない。
よって、警察法2条1項は、一斉検問の法律の根拠規定となる。
(2) また、仮に警察法2条1項が組織規範であるとしても、警職法2条1項が根拠規定となると解する。
警職法2条1項は、職務質問の前提となる要件を充足しているか否かを確認するための警察作用をも行い得ると解釈することができる。そして、一斉検問により職務質問を行うための要件充足性が認められた場合、職務質問へ移行することからすると、一斉検問は、職務質問の要件充足性を確認する警察作用の1つといえる。
そのため、警職法2条1項は、一斉検問の法律の根拠規定となる。
3 反論②について
(1) 仮に一斉検問に法律の根拠が認められないとしても、一斉検問は、国民の権利・自由を制約し、または新たな義務を課する行政活動に当たらず、法律の根拠を要しない。
(2) 一斉検問は、運転手の任意により停止していることからすると、国民の行動の自由を制約する行政活動に当たらない。
したがって、一斉検問は、法律の根拠がなくとも法律の留保原則に反せず、適法である。
以上

コメント