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参考答案 基礎演習行政法〔第2版〕第Ⅲ部 本案上の主張 第4問 行政処分の瑕疵

目次

【答案構成】

第1 設問1について

 1(1) 結論(提起すべき訴訟)

  (2) 結論の理由

2 提起すべき訴訟の訴訟要件提示

 3(1) 当てはめ(訴訟要件充足性)

  (2) 結論の再提示

第2 設問2について

1 問題提起(無効等確認訴訟の本案勝訴要件について)

2 規範定立(無効等確認訴訟の本案勝訴要件)

第3 設問3について

1 当てはめの前提確認(処分(除却命令)の要件確認)

2 当てはめ(本件処分の瑕疵の存在・明白性の認定→瑕疵の違法性の重大性認定→想定される反論への再反論)

3 結論

 

【参考答案】

第1 設問1について

 1(1) Xは、本件命令の無効等確認訴訟(行政事件訴訟法(以下、「行訴法」という)3条4項)を提起すべきである。

  (2) Xは、A市市長による本件命令という行政処分の効力を争おうとしている。行政処分の効力を争うための原則的な訴訟形態は、取消訴訟(行訴法3条2項)である。
 しかし、取消訴訟には、「6箇月」の出訴期間制限がある(行訴法14条)。
 本件において、Xが本件命令を知ったのは平成26年10月28日であり、現在は平成27年6月23日であるから、命令を知った日から既に6箇月以上が経過していることは明らかである。また、出訴期間の延長が認められる「正当な理由」(行訴法14条1項但書、2項但書)も存在しない。
 したがって、取消訴訟を提起しても、出訴期間を徒過したものとして、不適法却下されることから、出訴期間制限のない無効等確認訴訟を提起すべきである。

2 同訴訟の訴訟要件は、① 処分性(行訴法3条4項)、② 原告適格(行訴法36条後段)、③ 狭義の訴えの利益(行訴法36条)、④ 被告適格(行訴法38条1項・11条)、⑤ 裁判管轄(行訴法38条1項・行訴法12条)である。

 3(1) ①本件命令は処分であり、③代執行のおそれがある以上、訴えの利益も認められる。④被告はA市となり(行訴法38条1項、11条)被告適格も問題なく、⑤管轄も定まる。
 また、Xは本件命令に続く代執行により倉庫を除却されるという損害を受けるおそれがあるから、②「当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者」に当たり、予防訴訟として無効等確認訴訟における原告適格が認められ、補充性要件は要求されない。

  (2) したがって、その訴訟要件を充足するから、Xは本件命令の無効等確認訴訟を提起すべきである。

第2 設問2について

1 無効等確認訴訟の本案勝訴要件は何か、明文規定なく問題となる。

2 行政行為に認められる公定力・不可争力の趣旨は、第三者の信頼保護・行政の円滑な運営を確保する点にある一方、国民の権利利益の保護を図る必要性もある。
 そこで、無効等確認訴訟の本案勝訴要件は、処分に重大かつ明白な違法が存在することと解すべきである。

第3 設問3について

1 法9条1項は「違反した建築物」を除却命令の要件と規定する。

2 しかし、本件命令書には、Xが所有する6棟の倉庫のうち、どれが建築基準法違反であり、除却すべき対象なのかが具体的に特定されていないという瑕疵が存在する。そして、このことは誰の目から見ても明らかであった、すなわち、対象が不明確であることが客観的に明らかだったのだから、明白な瑕疵があったといえる。
 そして、本件命令はXに対し、その財産権に重大な制約を加える「除却」という重い義務を課すものである。それにもかかわらず、その対象が不明確であることで、Xには義務の履行可能性がなく、仮に誤って適法な倉庫を除却すれば回復困難な財産権侵害を招き、何もしなければ代執行を受けるという、著しく不安定で危険な立場に置かれることになる。このような命令は、国民に義務を課す行政行為として要求される適正手続きを欠き、その瑕疵は極めて重大であるといわざるを得ない。
 また、仮に命令書が不明確であっても、他の事情から対象を特定できる場合には無効とならないとの反論も考えられるものの、本件では、そのような特定しうる事情は存在しなかった。

3 したがって、本件命令には重大かつ明白な違法があるといえ、本件命令の無効等確認訴訟の本案勝訴要件が認められる。

以上

 

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