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参考答案 基礎演習行政法〔第2版〕第Ⅰ部 法的手段の選択 第3問 抗告訴訟と形式的当事者訴訟

目次

【答案構成】

第1 設問1について

1 結論の提示(Xが漁業権に基づいて漁業を営むために提起すべき訴訟=漁業権取消処分の取消訴訟。)

2 訴訟要件の検討(処分性、原告適格、狭義の訴えの利益、出訴期間遵守、被告適格(行訴法11条))

3 結論

第2 設問2について

1 結論の提示(Xが補償金額の増額を求めるために提起すべき訴訟=補償金額の増額を請求する形式的当事者訴訟。)

2 「当事者間の法律関係を……形成する処分」→A県知事による補償金額の決定=A県・X間の補償金支払請求権(法律関係)を形成する処分。
 形式的形成訴訟=上記処分によって形成された法律関係の内容である金額「に関する訴訟」
 補償金額に不服がある者に対し、「訴えをもつてその増額を請求することができる」(法39条9項)+「都道府県を被告とする」(法39条10項)と規定→「法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの」に該当する。

3 形式的形成訴訟が適切である説明

4 結論

 

【参考答案】

第1 設問1について

1 Xが漁業権(漁業法(以下「法」という。)6条1項)に基づいて漁業を営むため(法9条)に提起すべき訴訟は、A県を被告として、漁業権取消処分(法39条1項)の取消しを求める取消訴訟(行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)3条2項)である。

2 A県知事による漁業権の取消しは、特定人Xに対し、直接その権利を変動させる行為であり、抗告訴訟の対象となる「処分」(行訴法3条2項)に該当する。
 また、Xは漁業権取消処分の名宛人であるから、「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項)に当たり、同処分の取消しにより、漁業権に基づき漁業を営むことができるから訴えの利益(行訴法9条1項括弧書)を有する。
 そして、Xは漁業権取消処分を翌日に知り、直ちに法的手段をとろうと考えているから、出訴期間である「6箇月」以内であると考えられる(行訴法14条1項本文)。
 本件処分を行った行政庁であるA県知事は、地方公共団体であるA県に所属するため、本件訴訟において被告とすべきはA県となる(行訴法11条1項1号)。

3 よって、XはA県を被告として、漁業権取消処分の取消訴訟を提起すべきである。

第2 設問2について

1 Xが補償金額の増額を求めるために提起すべき訴訟は、漁業法39条9項に基づき、A県を被告として、補償金額の増額を請求する形式的当事者訴訟(行訴法4条前段)である。

2 まず、A県知事による補償金額の決定(漁業法39条8項)は、A県とXとの間に具体的な補償金支払請求権という法律関係を形成する処分にあたる。そして、Xが提起しようとしている訴訟は、この処分によって形成された法律関係の内容である金額に関する訴訟である。
 次に、漁業法は、補償金額に不服がある者に対し、「訴えをもつてその増額を請求することができる」(法39条9項)と定め、その訴えにおいては「都道府県を被告とする」(法39条10項)と規定している。これは、「法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもの」(行訴法4条前段)に該当する。

3 以上より、本件は形式的当事者訴訟の要件を充足し、同訴訟によることで、裁判所は補償金額が妥当か否かを自ら判断し、増額を認める判決をすることができるため、補償金額の増額を求めるXの目的を直接達成することができるため、適する。

4 よって、Xは、漁業法39条9項に基づき、A県を被告として、補償金額の増額を請求する形式的当事者訴訟を提起すべきである。

以上

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