スポンサーリンク

参考答案 Law Practice 民事訴訟法〔第5版〕 問題69 訴訟告知

目次

 

【参考答案】

第1 設問前段部分について

1 XのYに対する保証契約に基づく保証債務履行請求訴訟(以下「前訴」という。)の係属中、YはZに対し訴訟告知(民事訴訟法(以下法令名省略)53条1項)を行ったが、Zは前訴に参加せず、Yの敗訴判決が確定している。その後、YがZに対し提起した求償金請求訴訟(以下「後訴」という。)において、Zは主債務の不存在を主張して争うことができるか。訴訟告知に基づく参加的効力(53条4項、46条)の要件及び客観的範囲が問題となる。

 2(1) 53条4項は、訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合においても、46条の適用については「参加することができる時に参加したものとみなす」と規定する。その趣旨は、被告知者に手続保障の機会を与える点にある。そうだとすれば、実際に効力が及ぶためには、その前提として、被告知者が「参加することができた」こと、すなわち補助参加の利益(42条)を有していたことが必要であると解する。

  (2) 46条の趣旨は、敗訴の結果責任の公平な分担にある。不参加の場合であっても、前述の通り参加の機会が保障されていた以上、同様に解すべきである。したがって、その客観的範囲は、既判力(114条1項)と異なり、判決主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などにも及ぶと解する。  
 具体的には、①当該事実または法律関係の存否が主要な争点として審理され、②参加人がその点について十分に主張・立証を尽くした、あるいは尽くすことができた場合には、参加的効力が及ぶ。

 3(1) 本件前訴は、債権者Xの保証人Yに対する保証債務履行請求訴訟である。Yが前訴で敗訴した場合、保証人Yは主債務者Zに対して求償権を取得する関係(民法459条1項)にある。そのため、Zは前訴の結果について法律上の利害関係を有しており、Yに補助参加してその敗訴を食い止めるべき補助参加の利益(42条)を有していたといえる。したがって、Zは前訴に「参加することができた」といえ、53条4項の要件を満たす。

  (2) 保証債務は主債務の存在をその成立要件とする(民法446条1項)から、主債務の存在は、前訴判決の主文を導き出すために必要不可欠な主要事実の認定ないし法律判断に当たる。
 また、Zは主債務者とされる者であり、自身が借金をしたか否かという事実は最もよく知る立場にある。加えて、訴訟告知は第1回口頭弁論期日という初期の段階でなされている。そうであれば、Zがその時点で参加していれば、時機に後れることなく、Yに協力して「主債務は存在しない」との主張・立証を十分に尽くすことができたといえる。

4 よって、前訴判決における「主債務の存在」の判断には参加的効力が及び、Zは後訴においてこれを争うことはできない。

第2 設問後段部分について

1 他方、Zにおいては「借金したのはY自身である(自分は主債務者ではない)」との認識から、訴訟参加の必要がないとして不参加であったという事情がある。  このような場合において、後訴でなされる「Yこそが主債務者である」との主張に、参加的効力が及ぶか。
 前述した第1の2の規範に従って検討する。

2 本件において、Zが主張しようとする「借金したのはYであり、自分は仲介人にすぎない」という事実は、前訴において保証人として争っていた被参加人Yの訴訟追行と明らかに矛盾・抵触するものである。参加人の訴訟行為が被参加人の訴訟行為と抵触する場合、その効力は有しないとされる(45条2項)。そのため、仮にZが前訴に参加していたとしても、Zは当該主張を有効になすことはできなかったといえる。

3 したがって、当該主張について参加的効力は及ばず、Zはこれを争うことができる。

以上

コメント