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参考答案 Law Practice 民事訴訟法〔第5版〕 問題13 確認の利益(2):敷金返還請求権

目次

 

【参考答案】

1 Xの提起した訴えは、将来の契約終了時に発生すべき敷金返還請求権の存在確認を求めるものである。確認の訴えは給付の訴えや形成の訴えと異なり、対象が無限定に拡大するおそれがあるから、現在の紛争解決に資するよう、現在の権利または法律関係を対象とすべきであり、将来の法律関係の確認は原則として許されない。
 そこで、本件のような将来の権利関係について、いかなる場合に確認の利益が認められるかが問題となる。

2 敷金返還請求権は、賃貸借終了後、明渡し等の時点において被担保債権を控除し、なお残額があることを条件として発生するものである(民法622条の2第1項各号参照)。しかし、かかる権利は、上記条件の成就によって具体的請求権となる条件付き権利として、当該時点よりも前から現在において既に存在しているといえる。
 そうだとすれば、このような条件付き権利の確認を求める訴えは、実質において「現在の法律関係」の確認を求めるものであり、確認対象の適切性が認められると解する。
 したがって、その基礎となる事実関係について争いがあり、原告の法的地位に不安・危険が現に生じている場合には、即時確定の利益も認められ、確認の利益は肯定されるべきである。

 3(1)  Xは、Yに対し、賃貸借契約終了時に240万円の返還請求権が存在することの確認を求めている。Xの主張によれば、契約締結時に300万円を保証金名目で差し入れ、契約終了時にその2割を償却し8割を返還する合意があったとされる。かかるXの主張する権利は、停止条件付権利として現在において既に成立していると評価できる法的地位であり、確認の訴えの対象としての適格性を満たす。

  (2) そして、Yは、保証金名目の金銭の差入れの事実自体を争い、仮に差入れの事実が認められるとしても返還約束は存在しないと主張して、Xの主張する上記権利の存在を全面的に否定している。このように、権利発生の基礎となる事実関係及び契約条項の解釈について深刻な争いがある以上、Xの有する条件付き権利としての法的地位には現に危険・不安が生じているといえる。
 また、本件賃貸借契約は既に10年以上継続しており、将来の契約終了時まで解決を先送りすれば、証拠の散逸等により事実認定が困難となるおそれがある。したがって、現時点において基礎事実等の争いを解決し、Xの法的地位を確定しておくことは、将来の紛争を抜本的に解決するために必要かつ適切である。
 よって、即時確定の利益も認められる。

4 以上の通り、本件訴えは確認の利益の要件を満たすため、適法である。

以上

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