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参考答案 Law Practice 民事訴訟法〔第5版〕 問題31 権利自白

目次

 

【参考答案】

1 裁判所は、Yが包括的一般的過失を認めていることを根拠に、証拠調べを経ずに過失を認定できるか。Yの陳述は、過失という法的評価そのものを認めるものとして、いわゆる権利自白に該当するところ、その効力が問題となる。

2 確かに、法の適用は裁判所の専権事項であるが、民事訴訟においては処分権主義や弁論主義が妥当し、紛争解決の基盤を法律面の次元でも当事者の決定に委ねる権能を認める必要がある。また、当事者の一方が相手方の陳述を信じて立証活動を控えたような場合、その信頼を保護する必要もある。さらに、現行法も中間確認の訴えにおける請求の認諾(民事訴訟法145条)など、法律判断に関する当事者の処分権を一定程度承認している。
 したがって、権利自白についても、事実自白と同様、証明不要効、審判排除効及び撤回禁止効が認められると解する。

3 Yは、自衛隊パイロットの「安全確認上の注意義務に反した包括的一般的過失」を認める陳述をしている。これは法的評価を含む陳述であり、権利自白に該当する。
 Yは国であり、訴訟追行能力や法的知識において不足はなく、Yがあえて具体的事実を争いつつも、訴訟の勝敗に直結する「過失」という法的評価そのものを自認したことは、本件訴訟における争点の処分として、明確な意思に基づくものといえる。
 したがって、Yによる過失の権利自白は有効であり、裁判所に対する拘束力を生ずる。

4 よって、裁判所は、証拠調べをすることなく、Yの過失を認定することができる。

以上

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