スポンサーリンク

参考答案 Law Practice 民事訴訟法〔第5版〕 問題64 固有必要的共同訴訟の成否(2):入会権確認訴訟

目次

 

【参考答案】

 1(1) Xらは、同調しない構成員を原告に含めず、入会権確認訴訟を提起することができるか。前提として、入会集団の構成員の一部が入会権の確認を求める訴えが、固有必要的共同訴訟(民事訴訟法(以下法令名省略)40条1項)に当たるかが問題となる。

  (2) 民事訴訟は実体法上の権利関係を実現・処分する過程であるから、固有必要的共同訴訟に当たるか否かは、第一次的には、訴訟の目的たる権利関係の管理処分権が実体法上共同的に帰属しているか否かによって決すべきである。もっとも、当事者適格は訴訟追行権に関わる問題でもあるから、訴訟政策的観点による調整も要する。
 そこで、固有必要的共同訴訟に当たるか否かは、実体法上の管理処分権の帰属態様を基準としつつ、紛争解決の実効性や当事者の公平といった訴訟政策的観点も加味して判断すべきである。

  (3) 入会権は、入会集団の構成員の総有に属する権利である。総有においては、共有と異なり構成員各自に持分権がなく、管理処分権は構成員全員に帰属する。したがって、入会権そのものの存否を確認する訴訟については、実体法上、構成員全員が当事者となる必要がある。
 また、訴訟政策的観点からみても、入会権の存否は構成員全員に合一に確定される必要があり、一部の者だけの訴訟を許容すれば判決の矛盾抵触を招くおそれがある。
 したがって、本件訴えは、入会集団の構成員全員が当事者となる必要のある固有必要的共同訴訟である。よって、原則、Xらは自分たちだけで、同調しない構成員を原告に入れずに、入会権を有することの確認を求める訴え提起はできない。

 2(1) もっとも、本件において、構成員であるZらは訴え提起に同調していないため、原告として共同することができない。そこで、固有必要的共同訴訟において、同調しない原告がいる場合に、いかにして訴えを提起すべきか、当事者適格の欠缺の解消方法が問題となる。

  (2) この点、固有必要的共同訴訟においては、関係者全員が訴訟の当事者となる必要があるが、必ずしも全員が原告とならなければならないわけではない。提訴に同調しない者がいることを理由に訴えの提起を認めないことは、提訴を希望する者の裁判を受ける権利(憲法32条)を害することになり妥当でない。他方で、同調しない者を被告として手続に関与させれば、同人にも当事者としての手続保障が及ぶため不利益はない。
 したがって、提訴に同調しない者を被告に加えることで、当事者適格が認められると解する。

  (3) Xらは、入会権確認を求める訴えの提起にあたり、これに同調しない構成員であるZ₁ないしZ₃₀を被告として加えることで、入会集団の構成員全員が原告または被告として訴訟の当事者となり、手続に関与することになる。これにより、関係者全員が訴訟に関与し、当事者適格の要件を満たすといえる。
 以上より、Xらは、同調しない構成員を原告に含めずとも、これらを被告とすることで、適法に入会権確認訴訟を提起することができる。

以上

コメント