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参考答案 Law Practice 民事訴訟法〔第5版〕 問題77 補充送達と再審

目次

 

【参考答案】

第1 前訴判決の効力と補充送達の有効性について

1 Xは、前訴判決確定から2年後に再審の訴えを提起しようとしている。そこで、前提として、前訴判決が有効に確定しているかが問題となる。仮に、前訴の訴状送達が無効であれば、判決は確定せず、Xは上訴の追完(民事訴訟法(以下法令名省略)97条1項)等により救済されるからである。
 本件では、X宛ての訴状をX代表者と同居するAが受領している。この送達は、補充送達(106条1項)に当たるものの、AはXに無断で連帯保証契約を締結した者であり、Xとの間で事実上の利害対立がある。このように、受送達者との間で利害対立がある同居人への補充送達は有効か。

2 106条1項は、その文言上、書類の受領について相当のわきまえのある同居者等に書類を交付すれば、送達の効力が生ずると規定する。また、送達の効力が、送達実施機関には判別しがたい受領者と本人との内部的利害関係によって左右されるとすれば、送達事務の円滑や手続の安定を害することになる。
 したがって、受領者が当該訴訟の相手方当事者であるなど、法律上の利害対立がある場合は別として、単に事実上の利害関係の対立があるにすぎない場合には、補充送達は有効であると解する。

3 AはX代表者と同居しており、書類の受領について「相当のわきまえ」のある者といえる。
 確かに、AはXに無断でXを連帯保証人としたものであり、Xに訴状が渡ればその事実が発覚することから、Xとの間で事実上の利害対立があるといえる。しかし、Aは本件訴訟の原告ではなく、あくまで共同被告の一人にすぎないから、Xとの間で法律上の利害対立があるとはいえない。
 したがって、Aへの補充送達は適法・有効である。よって、前訴判決は送達により効力を生じ、上訴期間の経過により確定している。

第2 再審の訴えの適否について

1 前訴判決が確定している以上、Xは再審の訴え(338条1項)による必要がある。Xは、Aが無断で連帯保証契約をしたと主張しており、自身に手続保障が及んでいないことを理由に争うことが考えられる。そこで、「代理権を欠いた」(338条1項3号)ことの類推適用が認められるかが問題となる。

2 同号の趣旨は、代理権を欠く者の訴訟追行により、本人の手続関与の機会が保障されなかった点にある。そうだとすれば、たとえ補充送達が手続の安定の要請から有効とされる場合であっても、受送達者と受領した同居人との間に事実上の利害対立があり、そのために訴状等が受送達者に交付されることが期待できず、現実に交付されなかったために、受送達者が訴訟手続に関与する機会を全く与えられなかった場合には、同号の趣旨が妥当する。
 したがって、このような場合には、同号の類推適用により、再審の訴えを提起することができると解する。

3 AはXに無断でXを連帯保証人としたものであり、Xに訴状を交付すれば自身の不正が露見するため、これを隠匿する強い動機が認められる。すなわち、XとAの間には事実上の利害対立があり、AからXへの訴状等の交付は期待できなかったといえる。そして現実に、Xは訴訟の存在を知らぬまま判決が確定しており、手続に関与する機会を奪われていたといえる。
 以上より、Xには338条1項3号の類推適用による再審事由が認められる。
 なお、338条1項3号の再審の訴えについては、提起期間の制限(342条1項)が適用されない(同条3項)。したがって、判決確定から2年が経過している本件においても、Xは再審の訴えを提起することができる。

以上

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