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参考答案 Law Practice 民事訴訟法〔第5版〕 問題6 当事者の確定

目次

 

【参考答案】

1 Yによる請求異議の訴えは認められるか。仮に、前訴当事者がAであったとする場合、死者を被告とした訴訟には訴訟係属が生じないことから、判決は無効となるべきである。そこで、前訴当事者はAかYのいずれの者であったか、当事者の確定基準が条文上明らかでないことから問題となる。

2 当事者は、当事者能力(民事訴訟法(以下法令名省略)28条)や既判力の主観的範囲(115条1項)等の判断の基礎となることから、訴訟当初から明確に判断できる基準によって確定されるべきである。
 したがって、訴状の当事者欄の記載(134条2項)を基準として判断すべきである。
 ただし、具体的妥当性を図る見地から、訴状全体の記載等を合理的に考慮して判断すべきである。

3 本件では、訴状の当事者欄にはAが被告であると記載されており、請求原因である買代金支払請求権の債務発生原因たる売買契約の契約当事者及び記載された住所もAであった。そうすると、前訴当事者として確定される者はAであるといえる。

 4(1) そうだとすれば、前訴判決は、提訴前に死亡していたAを当事者とする判決である。死者に対する訴えは、対立当事者の存在という訴訟の基本的構造を欠き不適法であり、訴訟係属の効果も生じないから、当該判決は無効である。したがって、当該判決の効力が相続人であるYに及ぶこともないのが原則である。

  (2) もっとも、相続人が実質的に訴訟を追行し、その手続保障が十分に与えられていたと評価できる場合には、当該相続人が判決確定後に被相続人の死亡を理由として判決の無効を主張することは、訴訟追行の結果としての判決の効力を自ら否定する矛盾挙動となり、信義則(2条)に反し許されないと解する。

  (3) 本件においては、Yは、Aの同居人として訴状を受領し、自ら弁護士Bを選任して期日に出頭させるなど、実質的な訴訟追行を行っている。このように、Yにおいて十分な手続保障が与えられ、実質的にY自身の訴訟として防御を尽くしたにもかかわらず、敗訴判決が確定した後になって、Aの死亡事実を主張して判決の無効を主張することは、信義則(2条)に反し許されないというべきである。

5 よって、Yの請求異議の訴えは認められない。

以上

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