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【参考答案】
1 前訴判決は、Xの主債務者Yに対する請求を棄却するものであり、その既判力は当事者間でのみ生じるのが原則である(民事訴訟法(以下法令名省略)115条1項1号)。したがって、第三者である保証人Zに既判力は及ばないのが原則である。
しかし、後訴において主債務の存在が肯定されると、主債務がなければ保証債務もないとする保証債務の付従性(民法448条)に矛盾する。そこで、当事者間に既判力の拘束のあることが、当事者と実体法上特殊な関係にある第三者に、反射的に有利又は不利な影響を及ぼす効力が認められないか。
2 判決相対効の原則(115条1項1号)及び手続保障の観点から、無限定に反射的効力を認めるべきではない。紛争の相対的解決原則及び手続保障の観点からは、単なる実体法上の関係だけでなく、既判力の拡張を正当化し得る根拠が必要とされるからである。
もっとも、①前訴当事者と第三者との間に実体法上特殊な従属関係ないし依存関係があり、かつ、②既判力の拡張を定める115条1項2号ないし4号の類推の基礎がある場合には、反射的効力が認められると解する。
3 まず、ZはYの保証人であるところ、保証債務はその成立・存続・内容において主債務に従属する付従性(民法448条)を有する。したがって、主債務者Yと保証人Zとの間には実体法上の従属関係が認められる(要件①充足)。
次に、Zは、Xからの保証債務履行請求を拒むために、主債務不存在の判断を示した前訴判決を防御的に援用している。債権者Xは、前訴において、最も利害関係の深い主債務者Yを相手に主債務の存否について争う機会を十分に与えられており、その結果敗訴したのであるから、これをZとの関係でも主張できなくなったとしても不意打ちとはならず、手続保障は尽くされている。したがって、既判力の拡張を定める同法115条1項2号ないし4号の類推の基礎があるといえる(要件②充足)。
4 以上より、前訴判決の反射的効力が認められる。その結果、Xは後訴において主債務の存在を主張することができず、これを前提とする保証債務の履行も認められないため、XのZに対する請求は棄却される。
以上

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