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【参考答案】
第1 機体の製造者B、設計者Cの補助参加について
1 B及びCは、Xらが提起したYに対する損害賠償請求訴訟(以下「本件訴訟」という。)に補助参加(民事訴訟法(以下法令名省略)42条)をすることができるか。「訴訟の結果について利害関係を有する第三者」にB・Cが当たるか、その意義が問題となる。
2 補助参加制度の趣旨は、他人間の訴訟の結果に利害関係を有する第三者が、当事者の一方を勝訴させることで自己の利益を防衛することにある。そこで、「利害関係」とは、当該訴訟の判決が参加人の私法上または公法上の法的地位に影響を及ぼすおそれがある場合、すなわち法律上の利害関係をいう。
そして、その判断基準については、第三者の安易な介入による訴訟遅延を防止し、かつ基準の明確化を図る観点から、参加人の法的地位が当該訴訟の訴訟物たる権利関係の存否を論理的な前提とする場合に限られると解する。
3 本件訴訟の訴訟物は、XのYに対する不法行為に基づく損害賠償請求権である。 これに対し、B及びCは機体の製造者・設計者であり、仮に本件訴訟において機体の構造的欠陥が認定されYが敗訴した場合、Yから当該欠陥を理由として求償ないし損害賠償請求を受ける法的地位にある。そして、このYのB・Cに対する請求権は、Y自身がXに対し賠償責任を負うことを発生の法的要件としている。そうだとすれば、B・Cが将来負うおそれのある求償債務の存否は、本件訴訟の訴訟物たる権利関係の存否を論理的な前提としているといえる。
したがって、B・Cは本件訴訟の結果について法律上の利害関係を有する。
4 よって、B及びCは本件訴訟に補助参加することができる。
第2 遺族Eの補助参加について
1 EはXと同様の事故の遺族であり、将来Yに対して損害賠償を請求しうる地位にある。Eに補助参加の利益が認められるか。
2 第1-2の通り、補助参加の利益は原則として、参加人の法的地位が訴訟物の存否の論理的前提となる場合に限定される。
もっとも、この基準を形式的に貫くと、参加人の権利保護に欠ける場合がある。 そこで、訴訟物が論理的な前提とならない場合であっても、①当該訴訟と参加人の権利関係に関する紛争との間で主要な争点が共通し、かつ、②当該訴訟の判決理由中の判断が参加人の権利関係の判断に対して事実上強い拘束力を有する特段の事情があるときは、例外的に法律上の利害関係を有すると解するのが相当である。
3 まず、XのYに対する請求と、Eが将来提起しうるYに対する請求は、いずれも同一の航空機事故に基づく損害賠償請求であり、その勝敗は専ら事故原因が「機体の構造的欠陥」にあるか否かという点にかかっている。したがって、当該訴訟と参加人の権利関係に関する紛争との間で主要な争点が共通している。
次に、同一事故の被害者による訴訟である以上、裁判所が事故原因について各訴訟で別々の判断をすることは考え難い。仮に本件訴訟において「構造的欠陥は存在しない」との判決が確定すれば、後訴においてEがこれを覆すことは極めて困難であり、前訴の判断はEに対し事実上強い拘束力を有するといえる。
したがって、Eには上記特段の事情が認められ、本件訴訟の結果について法律上の利害関係を有する。
4 よって、Eは本件訴訟に補助参加することができる。
以上

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