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参考答案 Law Practice 民事訴訟法〔第5版〕 問題54 口頭弁論終結後の承継人

目次

 

【参考答案】

 1(1) 前訴確定判決の既判力(民事訴訟法(以下法令名省略)114条1項)は、原則として当事者間にのみ及ぶ(115条1項1号)。そのため、前訴判決の既判力はX・Aに生じることになる。
 もっとも、115条1項3号は「口頭弁論終結後の承継人」に既判力が及ぶと規定する。そこで、YがYが同号の「承継人」に当たるか、その意義が問題となる。

  (2) この点、同号の趣旨は、当事者が基準時後に訴訟の目的物を第三者に譲渡することによる既判力の潜脱を防止し、紛争解決の実効性を確保する点にある。また、承継人に固有の法的地位があるか否かといった実体法上の事情によって、手続法上の概念である「承継人」の該当性が左右されると解するのは、既判力の及ぶ範囲の基準として明確さを欠き、妥当ではない。
 したがって、「承継人」とは、前訴の口頭弁論終結後に、訴訟物である権利義務ないし紛争の主体たる地位を前訴当事者から伝来的に取得した者をいい、固有の法的地位を有するか否かにかかわらずこれに含まれると解する。

  (3) 本件では、Yは前訴の口頭弁論終結後に、被告Aから係争物である本件土地を譲り受け、その登記も備えている。したがって、YはAから紛争の主体たる地位を伝来的に取得したといえ、「承継人」に当たる。
 よって、前訴判決の既判力はYに及ぶ。

 2(1) もっとも、Yに前訴判決の既判力が及ぶとしても、それによってYが民法94条2項の善意の第三者に該当するとの主張まで遮断されるか。既判力の及ぶ範囲が問題となる。

  (2) 既判力とは、確定判決の判断内容である事実審の口頭弁論終結時における権利関係の存否について通用力を生じさせ、当事者が後訴でこれと矛盾する主張・立証をすることを許さない効力をいう(114条1項)。したがって、既判力の遮断効は、基準時における権利関係の存否判断と矛盾する事由にのみ及び、基準時後に生じた新たな事由や、前訴の訴訟物たる権利関係と論理的に矛盾しない固有の防御方法の提出までは妨げない。

  (3) 前訴判決によって確定したのは、基準時において、Xが本件土地の所有権を有し、Aはこれを有しないということである。
 これに対し、Yの主張は、仮に基準時においてAが無権利であったとしても、基準時後にYがAから本件土地を譲り受けた際、X・A間の通謀虚偽表示について善意であったことから、民法94条2項により保護されるというものである。  このYの主張は、基準時後の譲受という新たな事実に基づくものであり、かつ、善意者保護というY固有の地位に基づくものであるから、前訴判決の判断内容自体を否定するものではない。
 したがって、Yの当該主張は、基準時後の新事由ないし固有の防御方法として、既判力による遮断を受けない。

3 よって、Yは後訴において善意の第三者の抗弁を主張することができ、Xの請求を拒むことができる。

以上

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