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参考答案 Law Practice 民事訴訟法〔第5版〕 問題47 既判力の客観的範囲

目次

 

【参考答案】

1 後訴において、X₁はYに対し、①甲土地が亡Aの遺産に属することの確認請求と、②共有持分権に基づく所有権移転登記手続請求を行っている。これら2つの請求に対し、前訴判決の既判力(民事訴訟法(以下法令名省略)114 条1 項)が及び、遮断されないかが問題となる。

 2(1) 既判力とは、確定判決の判断内容に与えられる通用性ないし拘束力をいう。その客観的範囲は「主文に包含するもの」、すなわち口頭弁論終結時における権利・法律関係の存否の判断にのみ生じ、判決理由中の判断には生じない(114条1項)。

  (2) 所有権確認訴訟の訴訟物は、取得原因によって区別される個々の所有権ではなく、基準時における現在の所有権の存否そのものである。なぜなら、所有権は一個の権利であり、取得原因事実は単なる攻撃防御方法にすぎないからである。  そして、共有持分権は所有権の分量的な一部であり、単独所有権と共有持分権とは数量的な一部と全部の関係にある。
 したがって、単独所有権の確認請求を棄却する判決が確定した場合には、原告が当該不動産につき、単独所有権はもちろん、その一部である共有持分権をも有しないことが既判力をもって確定すると解される。

3 前訴判決は、X₁の甲土地所有権確認請求を棄却し、確定している。これにより、基準時においてX₁が甲土地につき共有持分権を含む一切の所有権を有しないことが確定している。
 X₁は後訴において、①甲土地が亡Aの遺産に属すること、すなわち共有持分権の確認、及び②これに基づく移転登記手続を求めているが、その根拠とする相続は、いずれも前訴の基準時以前に生じた事由である。そうすると、後訴における①の請求は、前訴判決によって確定した「基準時においてX₁は共有持分権を有しない」という判断と矛盾抵触し、②の請求もまた、否定された権利関係を基礎とするものであるから、いずれも前訴判決の既判力に抵触し、許されない。

4 よって、裁判所は後訴請求を棄却すべきである。

以上

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