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参考答案 Law Practice 民事訴訟法〔第5版〕 問題78 第三者による再審の可否

目次

 

【参考答案】

1 Xは、確定した前訴の会社解散判決(以下「本件判決」という。)の効力を争うため、再審の訴え(民事訴訟法(以下法令名省略)338条1項)を提起することが考えられる。しかし、Xは前訴の当事者ではない。そこで、判決の効力が及ぶ第三者であるXが再審の訴えを提起できるか、また、再審の訴えが認められるとして、いかなる再審事由を主張すべきかが問題となる。

 2(1) 確定判決の効力は当事者間においてのみ生じるのが原則である(115条1項1号)。
 しかし、会社解散の訴えの認容判決は、第三者に対してもその効力を有する(会社法838条)。このように判決の効力が第三者に拡張される場合、当該第三者に十分な手続保障が与えられていなければ、その権利利益を不当に害することになる。
 そこで、判決の対世効を受ける第三者が、前訴当事者の詐害的訴訟活動等により手続に関与する機会を奪われ、その結果として自己の権利を害される場合には、手続保障の観点から、当該確定判決に係る訴訟について独立当事者参加の申出をすることにより、例外的に再審の訴えの原告適格が認められると解すべきである

  (2) XはY₁社の株主であり、本件判決によりY₁社が解散することで株主としての地位を失うおそれがあるから、「訴訟の結果によって権利が害される」(47条1項)といえる。また、後述の通り、本件訴訟はY₁とY₂によるなれ合い訴訟の側面が強く、Xは手続関与の機会を奪われている。
 したがって、Xは独立当事者参加の申出を併せて行うことで、再審の訴えの原告適格が認められる。

 3(1) 次に、Xは、いかなる再審事由を主張すべきかが問題となる。

  (2) この点、会社法上の訴えの被告適格を有する会社は、事実上、対世効を受ける第三者に代わって手続に関与する立場にあるから、第三者の利益に配慮し、信義に従った訴訟活動をすべき職責を負う(2条)。
 そうだとすれば、会社の訴訟活動が著しく信義に反しており、第三者に確定判決の効力を及ぼすことが手続保障の観点から看過することができない場合には、会社による実質的な代表機能が欠けているといえる。したがって、かかる場合は「代理権を欠く者が訴訟行為をした」ときと同視でき、338条1項3号の再審事由が認められると解する。

  (3) Y₂は、Y₁の顧問弁護士に相談のうえ、Y₁を被告として本件訴えを提起していることから、Y₁とY₂の間には当初から通謀があったことが推認される。また、Y₁は、臨時株主総会においてXらが解散に反対した経緯があるにもかかわらず、Xらに対して訴訟告知(会社法835条1項)を行わず、訴訟の係属すら知らせていない。その上で、Y₁は、第1回口頭弁論において請求原因事実の大部分を認め、解散事由の存在も争わずに即座に結審させている。これらの事実は、Y₁が訴訟制度を利用して反対株主であるXらの関与を意図的に排除し、なれ合いによる判決取得を図ったものであり、会社が負うべき公正な訴訟追行の職責を著しく放棄したといわざるを得ない。
 かかるY₁の訴訟活動は著しく信義に反し、これにより手続関与の機会を完全に奪われたXらに判決効を及ぼすことは、手続保障の観点から到底看過できない。  したがって、本件においては会社による実質的な代表機能が欠けているといえ、338条1項3号の再審事由が認められる。

4 上より、Xは、独立当事者参加の申出を行うことで、338条1項3号を再審事由とする再審の訴えを提起することができる。

以上

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