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参考答案 Law Practice 商法〔第5版〕 問題12 定款による株式の譲渡制限

目次

【答案構成】

第1 小問(1)について

1 問題提起(会社分割による譲渡制限株式の取得が「譲渡」か「一般承継」(134条4号)のいずれに当たるか)

2 規範定立(会社分割による株式取得の性質)

3 当てはめ

4 結論

 第2 小問(2)について

1 問題提起(少数派株主のみによる売渡請求に係る株主総会特別決議の成否)

2 規範(会社法175条2項本文)

3 当てはめ

4 結論

 

【参考答案】

第1 小問(1)について

1 Y₁社は、吸収分割によりC社からX社株式を承継しているところ、X社株式は定款により「譲渡」が制限されている(会社法(以下法令名省略)107条1項1号)。そこで、X社の承認を要するかにつき、会社分割による譲渡制限株式の取得が「譲渡」か「一般承継」(134条4号)のいずれに当たるかが問題となる。

2 この点、会社分割は、相続や合併と異なり、分割会社は会社分割後も存続し、承継される権利義務が分割契約等によって任意に選択される点で、その性質は包括承継よりも特定の財産の移転を目的とする売買等の特定承継に類似する。
 したがって、会社分割による株式の承継は「一般承継」には含まれず、「譲渡」による取得にあたると解すべきである。

3 そうすると、Y₁社によるC社との間の吸収分割契約に基づくC社が有していたX社株式の承継は、「譲渡」による取得に当たる。
 したがって、Y₁社が株主としての地位をX社に対抗するためには、X社の取締役会の承認を得る必要がある(139条1項)ところ、かかる承認を得ていないから、Y₁社はX社に対して株主であることを対抗できない。

4 よって、BがX社を代表して提起した、Y₁社がX社の株主としての地位を有しないことの確認を求める訴えは認められる。

第2 小問(2)について

1 Aの死亡により、その相続人であるY₂はX社株式を取得した。これに対し、X社は、定款の定め(174条)に基づき、Y₂に対して当該株式の売渡を請求する(175 条1 項各号、309条2項3号、176 条)。この請求が認められるか。本件売渡請求に係る株主総会特別決議は、Bのみが参加してなされたものであり、その効力が問題となる。

2 会社法175条2項本文は、株主総会決議において、売渡請求される株主は、議決権を行使することができない旨規定する。これは、売渡請求を受ける株主という利害関係者を議決から排除することで、決議の公正を担保する趣旨である。

3 本件決議において、売渡請求の対象者であるY₂は、175条2項本文の規定により、議決権を行使することができない者である。したがって、本件決議で議決権を行使できる株主はBのみとなる。
 BはX社の発行済株式の40%を保有しており、一人で特別決議の定足数(議決権を行使できる株主の議決権の過半数)および可決要件(出席した当該株主の議決権の3分の2以上)を満たすことができる。したがって、Bの賛成によりなされた本件決議は、手続的に有効である。
 もっとも、本請求は会社による自己株式の有償取得にあたるため、分配可能額の範囲内でしか株式を買い取ることができない(461条1項5号)。

4 よって、分配可能額の範囲内でX社のY₂に対する請求は認められる。

以上

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