参考答案 Law Practice 民事訴訟法〔第5版〕 問題65 固有必要的共同訴訟の成否(3):遺産確認訴訟

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【参考答案】

1 Xは、共同相続人の一人であるYに対し、本件土地が被相続人Aの遺産に属することの確認を求めている。この訴えは、形式的には過去の法律関係の確認であるが、実質的には現在の共有関係の確認と同視でき、紛争解決に資するため、確認の利益は認められる。もっとも、本件訴えが、共同相続人全員が当事者となる必要のある固有必要的共同訴訟(民事訴訟法(以下法令名省略)40条1項)に当たるのであれば、Yのみを被告とする訴えは当事者適格を欠き不適法となるため、その法的性質が問題となる。

2 民事訴訟は実体法上の権利関係を実現・処分する過程であるから、固有必要的共同訴訟に当たるか否かは、第一次的には、訴訟の目的たる権利関係の管理処分権が実体法上共同的に帰属しているか否かによって決すべきである。もっとも、当事者適格は訴訟追行権に関わる問題でもあるから、訴訟政策的観点による調整も要する。
 そこで、固有必要的共同訴訟に当たるか否かは、実体法上の管理処分権の帰属態様を基準としつつ、紛争解決の実効性や当事者の公平といった訴訟政策的観点も加味して判断すべきである。

3 ある財産が被相続人の遺産に属するか否かの確認は、遺産分割審判手続等の前提問題となるものである。仮に、一部の共同相続人の間でのみ遺産帰属性を確定したとしても、その判決の効力は手続に関与しなかった他の共同相続人には及ばない(115条1項1号)。そのため、後に他の共同相続人が当該財産の遺産帰属性を争えば、遺産分割手続の前提が覆り、紛争が蒸し返されるおそれがある。これでは、遺産分割の前提事項を統一的に解決し、紛争の抜本的解決を図るという本訴の目的を達することができない。
 したがって、遺産確認の訴えは、実体法上の権利関係の確定だけでなく、紛争解決の実効性を確保するという訴訟政策的観点から、共同相続人全員が当事者として関与し、合一に確定する必要のある固有必要的共同訴訟であると解するのが相当である。

4 もっとも、本件において、X以外の共同相続人にはYのほかにB及びCが存在するが、XはYのみを被告として訴えを提起しており、B及びCが当事者として関与していない。そこで、Xが適法に本件訴えを提起するためには、Yに加えて、B及びCをも原告または被告として訴えを提起し、共同相続人全員を当事者とする必要がある。
 よって、Xは、Yのみを被告として本件土地の遺産確認の訴えを提起することはできず、Yに加えてB及びCをも当事者とする必要がある。

以上

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