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参考答案 Law Practice 民事訴訟法〔第5版〕 問題36 証明責任の分配

目次

 

【参考答案】

1 Yは、Xが信頼関係を破壊させるような信義則違反がある事実を主張・立証していない以上、無断転貸解除は認められないと主張する。この主張は、民法612条に基づく解除において「背信性」に関する証明責任を賃貸人Xが負うことを前提とするものである。そこで、当該事実の証明責任の所在が問題となる。

2 証明責任とは、ある主要事実の存否が真偽不明の場合に、判決においてその事実が存在しないものとして取り扱われることにより、当事者の一方が受ける不利益をいう。  証明責任の分配について明文規定がない場合、当事者の公平や法規の構造の観点から、原則として、権利の発生を主張する者がその権利根拠事実について、権利の発生を争う者が権利障害事実・権利消滅事実について証明責任を負うと解すべきである。

 3(1) 民法612条2項は、無断転貸があったときは、賃貸人は契約の解除をすることができる旨規定する。したがって、同条の文言上、賃借人が賃貸人の承諾を得ずに転貸をした事実(同条1項)が、解除権という権利の発生根拠事実となる。
 もっとも、判例は、無断転貸があった場合でも、賃借人の行為が賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、解除権は発生しないとしている。この「特段の事情」の欠決を解除権の発生要件と解する見解もあり得る。しかし、無断転貸は当事者間の信頼関係を破壊するおそれが高い行為であるから、原則として解除権を発生させ、例外的に背信性を欠く事情がある場合にこれを妨げると構成するのが、同条の趣旨および公平の観点から合理的である。  
 したがって、「背信行為と認めるに足りない特段の事情」は、解除権の発生を妨げる権利障害事実と解すべきであり、その証明責任は、解除権の発生を争う賃借人側が負う。

  (2) 本件において、Xは無断転貸の事実を主張・立証すれば足り、信頼関係を破壊する事実まで主張・立証する必要はない。逆に、賃借人Yにおいて、背信行為と認めるに足りない特段の事情があることを主張・立証しなければならず、これが真偽不明となればYが不利益を受ける。
 よって、Xが信頼関係破壊の事実を主張・立証していないことを理由とするYの主張は、独自の見解に基づくものであり、認められない。

以上

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