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参考答案 Law Practice 民事訴訟法〔第5版〕 問題40 証言拒絶事由

目次

 

【参考答案】

1 証人Bは、取材源の氏名等の開示を求められたのに対し、これを拒絶している。この拒絶は、民事訴訟法(以下法令名省略)197条1項3号の「技術又は職業の秘密」に基づくものとして正当か。

 2(1) まず、報道機関の取材源が同号の「職業の秘密」に当たるか。

  (2) 「職業の秘密」とは、その事項が公開されると、当該職業に深刻な影響を与え、以後その遂行が困難になるものをいう。

  (3) 報道機関にとって、取材源の秘密が解明されると、取材源との信頼関係が損なわれ、将来にわたる自由で円滑な取材活動が妨げられることになり、報道の業務に深刻な影響を与える。
 したがって、取材源の秘密は「職業の秘密」に該当する。

 3(1) もっとも、197条1項3号の趣旨は、公正かつ適正な司法の犠牲の下、技術や職業自体の社会的価値を保護することにあることから、同号の秘密に該当するとしても、直ちに証言拒絶が認められるわけでなく、証言拒絶が認められる保護に値する秘密であることが必要となる。
 したがって、証言拒絶権の有無は、保護されるべき秘密の価値と、民事訴訟における真実発見及び裁判の公正の要請とを比較衡量して決すべきである。
 具体的には、①当該報道の内容・性質・社会的意義、取材の態様等の事情と、②当該民事事件の内容・性質・社会的意義、当該証言を必要とする程度、代替証拠の有無等の事情とを比較検討して判断する。

  (2) まず、①保護されるべき秘密の価値についてみる。本件放送の内容は、健康食品会社の代表者による脱税・所得隠しという公共の利害に関する事実であり、その社会的意義は極めて大きい。また、Bは取材源から任意に情報を得ており、取材方法に違法性や社会通念上の著しい不当性は認められない。このような取材源が開示されれば、将来の同種の取材活動が著しく困難となり、ひいては国民の知る権利(憲法21条)に資する報道の機能が害されるおそれが高く、秘密保護の必要性は高い。
 他方、②証言を必要とする民事裁判側の事情について、本件訴訟は、Xの個人的な損害賠償請求を目的とするものであり、その社会的意義は、上記報道の公共性と比して相対的に低いといわざるを得ない。また、本件においてBの証言以外に立証手段がないといった特段の事情も、本件の事実関係からは明らかではない。 
 以上を比較衡量すれば、本件においては、取材源の秘密を保護すべき要請が、民事裁判における証言の必要性を上回ると解される。

4 よって、Bの証言拒絶には「正当な理由」(197条1項3号)があり、その証言拒絶は認められる。

以上

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