目次
【参考答案】
1 Xは、Y₁に対して建物退去・土地明渡しを、Y₂に対して賃料相当額の支払を、Y₃に対して建物収去・土地明渡しをそれぞれ求めている。これらの請求は、いずれも本件建物の所有権移転及び土地占有という同一の事実上及び法律上の原因に基づくものであるから、民事訴訟法(以下法令名省略)38条後段の要件を満たし、通常共同訴訟として併合審理される。
通常共同訴訟において、39条は「共同訴訟人の一人の訴訟行為……は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない」として、共同訴訟人独立の原則を定めている。
本件において、Y₁・Y₃は賃料相当額の支払という事実を主張しているが、Y₂は欠席しており、自ら何ら主張を行っていない。
そこで、共同訴訟人の一人がした主張の効果が他の共同訴訟人にも及ぶという主張共通を認めることができるかが問題となる。
2 通常共同訴訟は、本来別個に提起し得る複数の訴訟が便宜上一個の手続に併合されているにすぎない。そのため、弁論主義の適用も各訴訟ごとに個別になされるべきである。そこで、弁論主義第1テーゼによれば、裁判所は当事者が主張しない主要事実を判決の基礎にすることはできない。したがって、共同訴訟人の一人が主張した事実を、自ら主張していない他の共同訴訟人との関係で判決の基礎とすることは、弁論主義に反し、また相手方にとっても不意打ちとなるため、許されない。
よって、主張共通は認められないと解すべきである。
一方、証拠資料については、同一の期日に共同して審理が行われる結果、他の共同訴訟人が提出した証拠についても、他の当事者が証拠調べに関与し、反駁する機会が与えられている。
そこで、かかる機会が与えられている限り、裁判官の自由心証の一体性及び判断の矛盾防止の観点から、援用がなくとも当該証拠を他の共同訴訟人との関係でも事実認定の資料とすることができる証拠共通は認められる。
3 本件において、Y₁・Y₃が主張した「賃料支払の事実」は、賃借権の存在を推認させる間接事実である。そのため、抗弁の主要事実である「賃借権の存在」自体を自ら主張していないY₂との関係では、当該事実は存在しないものとして扱わざるを得ない。
仮に、Y₁・Y₃が提出した証拠によって「賃料支払」が証明されたとしても、証拠共通によって認定できるのはあくまで「証拠資料」のみであり、前提となる主張がY₂からなされていない以上、裁判所は弁論主義第1テーゼにより、その事実をY₂の利益に認定することはできない。また、XがY₁・Y₃の主張を争わなかったことによる自白(179条)の効力も、39条によりY₂には及ばない。
4 以上より、裁判所は、XのY₂に対する請求については、賃料支払の事実を認定できず、擬制自白(159条1項)により請求を認容すべきである。
以上

コメント