参考答案 Law Practice 商法〔第5版〕 問題58 持分会社の解散請求

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【参考答案】

 1(1) Y社社員であるXは、Y社を被告として(会社法(以下法令名省略)834条21号)、833条2項に基づきY社の解散を求める訴えを提起すべきである。

(2) XはY社社員であるため、原告適格が認められる(833条2項)。そこで、「やむを得ない事由」が認められるか、その意義が明らかでなく問題となる。

 2 持分会社は、社員の個性・信頼関係を基盤として運営される形態の会社である。
 したがって、「やむを得ない事由」は、信頼関係が破壊され、会社の事業の運営や存続が困難な場合をいう。
 また、少数派社員を保護する観点から、会社の事業が形式的には動いているように見えても、① 社員間に多数派と少数派の対立が認められ、② 多数派が不公正かつ利己的な業務執行を行っており、③ ②により少数派がいわれのない不利益を受けている状況において、④他に解決のための公正かつ相当な手段がない場合も「やむを得ない事由」に当たると解する。

 3(1) まず、Y社においては、X・AとB・Cとの対立が決定的となり、さらにX・A間でも路線の対立が生ずるに至っている。これらのことから、Y社の運営の基盤である社員間の信頼関係は完全に破壊されているといえる。

(2) そして、B・Cは、X・Aの了解なく、Y社の乙不動産等をD社に無償で使用させている。これは、Y社の利益を害する不公正かつ利己的な業務執行(②)であり、これによりXは恒常的な不利益を被っている(③)。
 加えて、B・Cが乙不動産等でD社の事業を行っているため、Y社自身の事業運営も困難になっていると言える(①)。

(3) XらはBらとの和解の道を探ったが、Bらが真剣に話し合いに応じず、不可能となっている。また、X自身が退社(606条、607条)し、持分の払戻し(611条)を受ける方法も考えられるものの、Y社の財産を無断・無償でD社に流用するような不誠実なBらが、Xの退社に際し、公正な持分額の算定や円滑な支払いに応じるとは到底期待できない。したがって、退社・持分払戻しも、本件では「公正かつ相当な手段」とは言えない(④)。

 4 以上より、「やむを得ない事由」が認められ、Xの提起したY社の解散を求める訴えは認められる。

以上

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